農地を探してみたら、あっさりと見つかった。これは偶然ではなさそうだ。
農林行政の基礎資料とするために国が5年ごとにまとめる農林業センサスの2020年のデータによると、農業を営む経営体(個人や組織)のうち、7割超が「後継者を確保していない」と回答している。「確保している」と答えたのは、全体の4分の1に過ぎない。2025年分は集計中だというが、一層深刻化していることだろう。いまこの国では、農地を引き継いで食糧を作ろうという人材が全然足りないのである。
関連で、農林業センサスの基幹的農業従事者(農業をおもな仕事とする人)についてのデータも見ておこう。2005年に224万1千人だったが、2010年に205万4千人、2015年に175万7千人と急減し、2020年には136万3千人となっている。15年で4割ほど減った。ものすごい減少ペースである。しかも2020年の調査によると、基幹的農業従事者のうち65歳以上が全体の7割を占め、49歳以下は1割強にすぎない。

跡継ぎがおらず、耕作者は高齢化の一途をたどり、耕作放棄地やその予備軍が日々、増えていく。この国の食糧生産の現場は崩壊しつつある。データはそんな厳しい現状を突きつける。国全体の食糧自給率(カロリーベース)は「40%を下回る危うい状況が続いている」(日本農業新聞、2025年9月3日)。
わたし、ぽんきち(仮名)は昨年来、岡山県真庭市で開催されている農林業塾「真庭なりわい塾」に通い、地域の農家からお仕事の実態を教わるなど、貴重な経験をさせてもらった。そこでも、後継者難の問題が幾度も話題に上った。高齢になって跡継ぎもいない農家は、徐々に耕作地を減らしていく。田んぼであればまず、傾斜地であったり狭かったりして、作業するのに苦労が多い土地を放棄する。さらに年齢を重ねてもう働けないとなれば、農業じたいをやめる。
耕作地を減らす際、周囲の比較的若い農家(30歳代~50歳代)に「あなたがこの田畑を預かってくれないか」などと声をかけるケースも多いようだ。わたしが現地で知り合った若手農家は、このパターンで多くの土地を委託の形で預かり、けっこう手広く稲作をやっていた。とはいえ、土地を引き継ぐ人を確保できないことも多い。耕す人のいない農地は、猛烈な勢いで伸びる雑草に覆われていく。
農地が放棄され、荒れていく光景はいま、日本中で広がっている。この国の衰退、地域の衰退を物語るようだ。
そんな背景があって、わたしのような素人でもかなり容易に農地を見つけ、借り受けたり所有したりできるのだ。(農業をやってお金が十分儲かるかは別の問題として)とにかく農地を確保して作物を育ててみようという新参者たちにとって、これほどスタートを切りやすい時代はかつてなかったのではないかと思う。
