農地が見つかった。会社を辞める少し前、9月頃から、会う人ごとに「会社を辞めて農業をするのですが、実はまだ農地を確保していなくて」などと言いまくっていた。20人くらいに言ったと思う。すると最近になって、仕事上の知人の親族から「耕作者が亡くなって遊休地になりかけの土地があるので、使ってくれませんか」という、ありがたいお話をいただいた。
それで、一緒に営農することになっている相棒のぴょんた(仮名)と一緒に、土地を見せてもらいに行った。奈良盆地の一角で、ぴょんたの家からほど近い市街化調整区域内の4反(約40㌃)の畑地だ。大阪に住むわたしにとっても、車で片道1時間強で通える場所である。都市部に近く、農地への獣の害も少ないそうだ。ぴょんたと相談し、貸していただくことにした。
ちなみに、市街化調整区域内の農地は、宅地などに転用するのに原則、都道府県知事の許可が要るそうだ。持ち主にとっては、転用へのハードルが高い農地なのだ。
農地を探すに当たり、親戚筋の農家に話を聞いたとき、「うちみたいに山地の農家は最近、獣害が一層ひどくなった」と嘆いていた。その人は三重に住んでいるが、サル、イノシシ、シカに作物を食われ、相当困っているようだった。周辺で、アライグマに体当たりされてケガを負った人もいたとか。

日本各地の農村部で、高齢化と人口減により、農地や里山をきれいに整備するための人手が不足している。人間が自然を十分に管理できなくなり、里山や農地が荒れるなか、獣たちが人間のテリトリーへと侵入してきているのだろう。昨今のクマ被害の続発も、猛暑によるエサの不足に加え、人間側の自然管理能力の衰えという背景があるのではないだろうか。
くだんの土地の持ち主からは「1反でも2反でも、好きなだけ耕して。地代は不要です」と言っていただき、わたしとぴょんたは恐縮してしまった。ここにきて、ぴょんたが家族のご病気への対処で忙しくなった事情もあって、まだどんな作物を育てるか決めていないが、せっかくの土地を大切に使わせていただこうと考えている。
実は、「自由に農地を使って」というありがたいお話を、もう一件いただいた。現代の日本では、耕し手が減少の一途をたどり、遊休地化した農地や遊休地予備軍の土地がどんどん増えているようだ。そのような背景があって、わたしたちは容易に農地を見つけることができた。決して偶然ではないと思う。この点について、改めて統計データなども引っ張って掘り下げたい。
